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研究生活の精神的な辛さを劇的に改善する7つのコツ

研究生活をスタートさせたばかりの大学生・大学院生は、精神的に辛いと感じることが多いのではないでしょうか

先生や先輩からの指導、ハードな実験スケジュールに加えて、同期や後輩が良いデータを出すと気持ちが焦ることもあるでしょう。

確かに、研究というのは実験をやった分しか結果が出ないため、一定のハードワークが必要なのは事実です。

しかしながら、目的とする実験データを得るコツを会得していない段階では、殆どの実験結果がネガティブデータになるかもしれません。

特に、失敗することに慣れてない日本の学生には、このような研究の営みが精神的に辛く感じてしまうと思います。

私は Profile に示したように、人一倍自己肯定感が低く、周囲の人と成果を比較しがちでした。

従って、私は例に漏れず研究生活が精神的に辛く感じていた学生でした。

しかし、これから示す7つのポイントを意識することで、研究に対するモチベーションを一定以上に保つことができるようになり、必要以上に辛いと感じないようになりました

それらのポイントは製薬会社の研究員として働く今でも大切にしており、日々実行していることです。

私は 7 つのコツを体得するまでにかなりの遠回りをしてしまいましたが、この記事を読んで下さる皆さんの健全な研究生活のサポートになればと思います。

 

生活習慣を整えて "自分に合った" ハードワークを意識する

皆さんの周りには深夜遅くや日付を超えてまで実験することに誇りを持っている人はいませんでしょうか?

確かに医学・生物学の実験には時間がかかるものが多いです。

また、前述したように実験はやった分しか結果が出ないため、論文や進捗発表までに纏まったデータを出すためには一定のハードワークは必要です。

しかし、身の丈にあっていない実験量や労働時間は、集中力の低下に繋がり、サンプルの取り違えや実験操作の不手際などの問題を誘引します。

その結果、たとえうまく行った実験でも再現性が取れず、体にムチを打ってやった実験が無駄になってしまう可能性もあります。

身体の疲労は精神面における脆弱性にも繋がることを私は身をもって知っています。

従って、最大限に集中できる範囲で実験や仕事はやるべきだと私は考えます。

まず、1日のスケジュールを組む際に、実験などの予定は予想よりも 1.5 倍多く枠を取るようにしましょう。

こうすることで、1 日に無理な実験量をすることを抑えられるだけでなく、一つひとつの実験に集中して取り組むことができます。

更に、実験が不測の事態によって遅れが出たとしても、 1.5 倍の時間を予定しておけばスケジュールが押すことはないため、心にゆとりを持つことができます。

たとえ実験が予定通りに終わってスケジュールが巻いてしまったとしても、次のスケジュールを前倒しにしてもよいですし、論文を読むなどの自己研鑽に当てることもできます。

このように、スケジュールを多く見積もるメリットは多くあるので、是非実践してみてください。

先生などに提出する資料も 1.5 倍ぐらいの期間を設定することで心にゆとりが持てますし、決められた期間よりも早く提出できることで好印象を与えることができます。

また、私の場合は朝に集中力を要する仕事を持ってきた方がミスなくできるため、昼までに実施する大部分の実験が終わるように、朝は早く起きてラボに行きます。

昼食もたくさん食べてしまうと午後に眠気が来てしまうため、軽めの食事とコーヒーを飲むことを習慣にしていました。

午後は反応時間を待っているときは論文を読んだり、メールの返信、ディスカッションをしたりとデスクワークを中心にしています。

当然、反応に数日待たなければならない実験の仕込みやタイムコースを検討する実験をやることもありますが、これらもどんなに遅くても夕食前までに終わらせるようにスケジュールを組むようにしています。

その日にやるべき仕事や実験を夕食までに負えられるように設定し、早く帰宅することで明日の朝の実験を最大限に集中して実施できるように備えます。

実際、適切な仕事量の範囲は人によって異なると思います。

従って、研究者の得意とする条件検討を通して、あなた自身が最大限の集中力をキープできる研究生活習慣を見出してみてください。

 

十分な睡眠時間を "何としても" 確保する

睡眠は、その日の頑張りに対する休養のためではなく、明日の仕事への投資だと私は考えます。

睡眠の時間の質が十分でないと体力的にも精神的にも弱った状態になってしまい、仕事のパフォーマンスに著しい影響が出てしまいます。

睡眠時間について、私は学生時代に条件検討したところ、7.5 時間が最適で、6 時間ではお昼すぎに眠気が来てしまうことがわかりました。

一時期、ショートスリーパーを目指して、睡眠時間を少しづつ短くしていきましたが、やはり 6 時間以下は集中力にも影響が出てしまいました。

睡眠時間の確保だけでなく、その質も重要です。

私は「スタンフォード式最高の睡眠」を参考にして、質の良い睡眠をするためのルーティーンを作りました。

 

スタンフォード式 最高の睡眠
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適切に寝落ちする状況を作るために、入眠時間の 1.5 時間前までにお風呂に入って体温を上げます。

その後、布団に入ったあとはスマホなどの強い光を見ることは避け、読書をすることで自然と眠くなるようにしています。

また、起床も自然光で起きるようにカーテンを少し開けるとともに、睡眠アプリを使用して適切なタイミングで起きるようにしています。

また、寝具に投資することも睡眠の質を改善するために重要です。

特にマットレスは睡眠の質を改善する最重要ツールですので、投資に対するリターンが大きいです。

私のおすすめのマットレスは別記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。

悩みや問題を相談する癖を作る

学生は先生や先輩が忙しそうに見えると、相談や質問があっても遠慮しがちだと思います。

しかし、頼られることが嫌な人は殆どいないと思いますので、自分だけで悩まず、直ぐに質問や相談をするべきだと思います。

ただし、このときに大切なことが3つあります。

  • 相談・質問に要する時間を伝える:「3分ほど質問してもよろしいですか?」などとざっくりで良いので必要な時間を伝えると、先生や先輩も聞いてくれることが多いです。
  • 自分の主張・考え方を必ず準備する:単に質問するだけでは自分自身の成長に繋がりません。自分の意見を持つことで考え方があっているかどうか、違う場合には何が足りなかったかを明確にすることができます。
  • お礼を伝える:忙しい中で時間を割いて下さったこと対する感謝を忘れなければ、困っていることを聞いて全く悪い気はしないと思います。

一方で、同じラボの人には話せないような悩みもあるかもしれません。

研究室という場所は非常に閉鎖的な社会ですので、当たり前の事や客観的に見るとおかしなことに気がつけないことも多々あります。 

そのような時、特に精神面での悩みについては、ラボ外の同級生や、研究をやっていない友人や家族に相談を持ちかけてみることが良いかもしれません。

 

周囲の人と比較することを絶対に止める

私を含め、日本で学生生活を送ってきた人は競争社会で育ってきたと思います。

学校のテストに始まり、受験や部活でも常に周りの人と比べられ、負けないように努力をされてきたと思います。

しかし、研究においては周りの人と比べる必要はないと思います。

一人ひとりに与えられたプロジェクトは当然異なり、そのビジョンの大きさや先行研究の多さ、共同研究者の存在、スーパーバイザーの研究への助言の程度などによって、ゴールまでの難易度も大きく変わります。

更に、研究という営みは不思議なもので、各研究者の個性が研究内容や方針に如実に現れるので、直接比較することは難しいのです。

それ故、研究の成果を周囲の人と比べる事に全く意味がないのです。

目を向けるべきはあなた自身であり、自分自身ができる最大限の努力を継続し、昨日の自分よりも今日の自分が成長していることを実感し続けることです。

私自身、この事に気が付くまでにかなりの時間を要してしまいましたが、皆さんには早い段階からこのマインドセットを持ってもらえればと思います。

 

自分自身を喜ばせる方法を知る

私は学生時代、お金がなかったこともあり、趣味というものが全くありませんでした。

この無趣味だったことは、実験が思うように進まなかった博士課程前半でかなり後悔した点でした

実際、研究生活は実験がうまく行かないことも多く、ストレスが常に降りかかるので、気持ちをリフレッシュする方法を持つことが極めて大切です。

正直、気持ちが楽になって、頭がスッキリできるものであればどんなことでも良いと思います。

私の場合、週一回サウナに行くこと、実験がうまく行かなかった日の夕食はラーメンを食べることを今でも続けています。

また、最近では社会人になって時間とお金に余裕もできたため、ポーカーと海外旅行も趣味として始めました。

自分自身を喜ばせる方法を見つけることは、研究者だけでなく、それ以外の職業についた場合でも非常に有効だと思いますので、ぜひ今のうちに探してみてください。

アカデミアの研究室以上にブラックな環境はそう多くないので、学生時代に身に付けた自己コントロールの方法はどの進路でも活用できます。

 

研究以外の部分での自己研鑽を継続する

実験で失敗したり、ジャーナルクラブやプログレスレポートで良い発表が質疑応答が出来なかったときは落ち込みますよね。

しかし、人生は研究が全てではありません。

従って、研究以外にあなたの「ものさし」を持つことが大切だと思います。

具体的には、自分自身の研究プロジェクト以外に自己研鑽を行い、「この部分では研究室の誰よりも努力している、負けていない」というポイントを作ることです。

私の場合、毎朝 30 分間ビジネス書を読むこと、毎晩入浴中に英会話の勉強をすること、ラボの同僚に最近面白いと思った論文について 3 分程度で紹介するなどを博士課程在学中から現在に至るまでずっと続けています。

また、最近になって研究は体力勝負な部分もあるため、市営のトレーニングルームで仕事終わりに週2回運動することを始めました。

こういった努力によって、たとえ研究がうまく行かなくても、もしくは先生や先輩から厳しい指導を受けて落ち込んでいても、「私には他にも頑張っていることがあるし、研究も同じようにできるようになっていくはずだ」といったメンタリティを持つことができるようになりました。

特に、読書を自己研鑽として習慣化することは非常におすすめです。

読んだ内容を直ぐに仕事や生活に反映できますし、何より人間は「自分の考え方や知識の範囲外のものに出会った時に成長する」ので、自己成長の機会を常に持つためにも重要であると思います。

読書のメリットと具体出来な方法は別記事でまとめておりますので、御覧ください。

 

次に繋がる失敗は問題ないと考えるようにする

日本で育った我々は、失敗を非常に恐れる傾向にあると思います。

私も研究者として駆け出しのときはそう思っていました。

しかし今では、「たとえ失敗したとしても、それはチャレンジした結果であり、今後同じミスをしないようにすれば全く問題にならない」と思うようになりました。

このマインドになれたのは数え切れないほどの実験をこなしてきた結果でもありますが、「失敗の科学」を読んだことで以前よりも明確に意識するようになりました。

 

失敗の科学
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一方で、次に繋がる失敗をするように工夫することも重要だと考えています。

実験を例として挙げるならば、検証したい仮説に対して必要十分なコントロールを準備することです。

コントロールがワークしないならば実験デザインか材料の問題であり、一方でコントロールがワークしたならば仮説が異なる、もしくは実験条件の再検討の余地を考えることになります。

いずれの場合でも、コントロールさえちゃんと置けている実験ならば、どんな失敗をしても次の行動の方針決定の基礎になることがお分かりいただけるでしょうか。

コントロールの適切な置き方など、実験の効率的な進め方についてはこの記事にまとめております。

 

 

他の例として、ジャーナルクラブ等の発表でもうまく話せなかったり、質疑応答ができなくても、問題点を明確にするために、自己反省や聴衆の人からフィードバックを得ることができれば、次の発表で成長するために必要な経験であったと思えますよね。

失敗はチャレンジしないと経験できないことであり、誇るべきことだといます。

失敗から得られたことを次に繋げられればその失敗は失敗でなくなり、あなた自身の成長に必要な経験であったと言えると思います。

 

最後に

私のように自己肯定感が低く、研究生活に苦しんでいる研究者の後輩たちのマインドチェンジのために少しでも力になれば、筆者にとってこの上ない喜びです。

しかしながら、以上のような工夫をしたにも関わらず、研究生活がどうしてもしんどいと感じる方もいるかも知れません。

そのような時に忘れてほしくないことは、「人それぞれ得意不得意があり、適性が違うこと」と「居場所や所属はあなた自身が決められること」です。

私の場合、自己肯定感の低さというものを努力やマインドチェンジによって改善することができましたが、全員が同じように改善できるとは限らないと思います。

皆さん一人ひとりには必ず「あなたしか持っていない強みがある」と私は思います

そのような場合でも、研究生活を通して「この分野では私の強みが十分に発揮できない」と知ることができた事は、チャレンジの中で得られた大切な人生における教訓であると私は思います。

 

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