学術振興会(学振)特別研究員に採択されることは、博士課程学生が研究者を目指す上での登竜門と言われています。
しかし、その採用者数は総申請者数のうちの 20% であり、狭き門となっています。
私自身、学振に3回と、学振と同等の条件である民間の博士課程学生支援事業に2回申請してきました。
4回の落選を経験し、辛く悔しい思いをしてきましたが、最後のチャンスであった2回目の DC2 申請時に筆頭論文無しにも関わらず採択していただけました。
毎回本気で申請書を書き続け、ブラッシュアップして来たからこそ、筆頭論文なしでも DC2 採用を勝ち取ることができたのだと思います。
この記事では、その悪戦苦闘の中で得られた申請書の書き方のコツをシェアしたいと思います。
学振の申請書に向き合う読者の皆様のお役に立てれば幸いです。
目次
- 1 敵を知るところから始めよう
- 2 審査員は多忙な合間を縫って学振の審査を行う
- 3 申請書の指示通りに書くことに徹する
- 4 ストレスなく申請書の内容を読んでもらえるように工夫をする
- 5 フォントは「様式美」に準じて使い分ける
- 6 文字数は極限まで少なくする
- 7 文字の大きさは 11 pt で書くことを目指す
- 8 行間に余白を作る
- 9 専門用語には枕詞をつける
- 10 一文当たりの文字数を減らす
- 11 図はできる限り多く、大きくし、予備実験データは必ず載せる
- 12 現実的な量の研究計画を提示する
- 13 計画がうまくいかなかった場合のプランBも記載する
- 14 研究の意義・特色を広い視点から探してみる
- 15 自己分析は研究内容やその成果と絡めるとアピールしやすい
- 16 研究業績はできる限り多く書く
- 17 読み手の興味を惹きつけるタイトルを目指そう
- 18 適切に申請書を評価してもらえる書面審査区分を選択する
- 19 先生や先輩に添削してもらい、何度も修正する
- 20 最後に
敵を知るところから始めよう
学振では、優秀な博士課程学生に対して経済的支援をする DC1 (3 年間採用、博士課程 1 年目) と DC2 (2年間採用、博士課程 2-3 年目)という特別研究員の採用制度があります。
公式HPでは特別研究員に資する人材として、以下のように定義しています。
「特別研究員」制度は優れた若手研究者に、その研究生活の初期において、自由な発想のもとに主体的に研究課題等を選びながら研究に専念する機会を与えることにより、我が国の学術研究の将来を担う創造性に富んだ研究者の養成・確保に資することを目的として、大学院博士課程在学者及び博士の学位取得者で、優れた研究能力を有し、大学その他の研究機関で研究に専念することを希望する者を「特別研究員」に採用し、支援する制度です。(日本学術振興会HP)
学振に採択されると、給与として月 20 万円、研究費として年 100 万円程度を支給されます。
また、所属大学によっては、学振研究員となることで「独立家計」になることから、授業料が免除となる場合もあります。
このように、学振に採択されれば、博士課程学生でありながら学生の身分で安定した生活を送ることができます。
しかし、前述した通り、総申請者うちの 20% しか採用されず、非常にハードルが高いです。
それでも、申請条件に該当する場合は必ず出すようにしましょう。
学振の申請書は確かに書くのが大変ですが、どのような意義があるのか、どうすれば審査員に面白そうな研究だと思ってもらえるのかを本気で考えることを通して、自身の研究の理解を深めることができます。
このことは、のちに学術論文を書く時や、就職活動で研究発表する際に大いに活きてくる事になります。
また、私のボスがよくこのように言っていました。
「出さなければ当たらないし、出し続ければいつか当たる、だから当たるまで出しなさい」
これは採用された後に、たしかにそうだったなと思いました。
なので、強い気持ちを持って学振の申請にトライしましょう。
審査員は多忙な合間を縫って学振の審査を行う
ある日ボスに用事があり、教授室に赴いたら、写真のようなA4ファイルの束を閉めながら私にこう言いました。
「これ全部来週までに読んで、採点しなきゃならないんだよ」
私のラボのボスはすごく多忙でしたが、その合間を縫って 100 人以上の申請書を読まなければならなかったそうです。
その際に加えて次のように言っていました。
「全部は読んでられないから、1 ページ目だけまず読んで、ある程度判断する。その後、目に留まったものだけ、内容をざっと読んで理解する。」
つまり、採用されるためには、「 1 ページ目だけで興味を持ってもらう」かつ「研究計画全体がざっと読むだけでも分かる」ことの2点が必要であるという事です。
これは非常に難しい事ですが、一つひとつ丁寧に説明していきますね。
申請書の指示通りに書くことに徹する
学振の申請書を見てみると、各ページにこのような指示が載っています。
これはつまり、「この指示通りに過不足なく研究計画書を書いてください」という意味です。
様式やルールに合ってない申請書は審査員によっては読んですらくれませんので、注意して書いていきましょう。
ストレスなく申請書の内容を読んでもらえるように工夫をする
申請書をざっと読んで理解してもらうためには、次の 3 つのポイントが重要です。
- 「意味が通るギリギリまで文章量を減らす」
- 「余白を多く作る」
- 「キーワードを拾うだけで理解できるようにする」
そのためのノウハウを下記に示していきますが、申請書を書く上で「伝わるデザインの基本」が大いに役立つのでご紹介しておきます。
学振だけでなく、学会や就活、日々のラボミーティングにおける発表に至るまで非常に有用ですので、手元に一冊持っておきましょう。
フォントは「様式美」に準じて使い分ける
申請書において、通常の文章とキーワードのフォントは使い分けるようにしましょう。
申請書には様式美というものがあり、「ルールで定められてはいないけど、基本ときにはこうしなければならない」という暗黙の了解が存在します。
通常の文章であれば、明朝体 (日本語: ヒラギノ明朝 Pro がおすすめ) + Times New Roman (英語) の組み合わせが読みやすく、美しいとされます。
一方で、キーワードとなる部分は太字にしますが、ただ単に太字にするのではなく、フォント自体を変えることがポイントです。
私はいろいろな組み合わせを試しましたが、ゴシック体 (日本語: ヒラギノ角ゴ Pro W6 がおすすめ) + Helvetica (英語) が1番綺麗に見えたので、オススメします 。
また、ざっと読むだけで理解してもらうためには、キーワードとなる太字だけ読んで、研究内容を理解してもらえることが理想です。
従って、太字にする箇所は、申請書の中でも特に、厳選したキーワードについて洗練された文章にすることを意識しましょう。
文字数は極限まで少なくする
審査員は多忙の中で審査をするため、申請書一つあたりになるべく時間をかけたくないと当然考えます。
そんなときに、文字だけがびっしり書かれた申請書を見て「読みたい」とは思わないはずです。
従って、文字数は内容が伝えられるギリギリまで減らす努力をすることが不可欠です。
私が最終的に採用された時の申請書の 1-2 ページ目をお示しします。
文字の少なさと余白の多さについてご理解いただけるでしょうか。
文字の減らし方として、無駄な単語をどんどん削っていくことが1番だと思います。
例えば、「報告されている」というセンテンスは、引用が書いてあれば分かるので省略することができますね。
他には、文字数を減らすことのできる言い換えを探していきましょう。
例)免疫細胞の機能を活性化する分子 A は... → 免疫細胞の活性化分子 A は...
文字の大きさは 11 pt で書くことを目指す
申請書において、文字は大きいほど良いです。
募集要項には 10 pt 以上で書くように指示されていますが、10 pt でないと入り切らない申請書は明らかに書き過ぎです。
最低限 10.5 pt ですが、11 pt にできるように文章を推敲し続けましょう。
私の申請書は 11 pt で書き上げましたが、締め切りギリギリまで文字数と余白、文字のサイズの調整を行っていました。
感覚として、11 pt でも申請書が規定内に収まる様になると、文章が自然と洗練されていると思います。
行間に余白を作る
文章を読みやすくするためには、文字を大きくするだけでなく、行間に適切な余白を作ることが必要です。
文字を大きくする事のデメリットは、行間が詰まってしまうために全体がギチギチに見えてしまい、読みにくくなってしまいます。
これを防ぐために、下図のように行間の設定を変更することで読みやすい設定を検討しましょう。
ここは文章量との兼ね合いもありますので、個々人で検討する必要がありますが、私は文字 11 pt に対して、行間は固定値で 16.5 pt に設定しました。
こうすることで、文字を大きさを大きくしても読みにくさや圧迫感を読者に感じさせない設定にすることができました。
また、英単語と日本語の間の半角スペース(活性化分子 A は...)や、単位の前の半角スペース (1 mg/mL) を空けることは「様式美」として忘れずに設定しましょう。
以上のような工夫をすることで、申請書全体の余白を確保することができ、申請書に対する審査員の心理的抵抗感を軽減させることができます。
専門用語には枕詞をつける
後ほど詳しく説明しますが、学振は書面審査区分に該当する研究者が審査するため、必ずしも専門用語を正しく理解してもらえるとは限りません。
従って、正しく理解してもらうために、専門用語に「枕詞」をつけましょう。
例えば、TNFα は免疫学者にとっては炎症性サイトカインであることは常識ですが、専門分野外の研究者はどういう機能かイメージできない場合もあるかもしれません。
このような専門用語について、「炎症惹起能を有するサイトカイン TNFα」と修飾語を加えると良いです。
たとえ読者がその分子の背景知識を持ち合わせていなくても機能や役割をイメージしやすくなり、「分かった気にさせる」ことができます。
一文当たりの文字数を減らす
日本語は文章と文章を繋げる方法が多くあるので、何も考えずに内容を書いていると、読点で繋がる大変長い文になってしまいます。
文章全体を読みやすくするためには、一文一文の長さをできる限り短くすることが重要です。
また、一文の中で主語と述語はできる限り隣り合うようにしましょう。
例えば、「分子Aは免疫細胞Xの細胞機能を増加させた」よりも、「免疫細胞Xの細胞機能は分子Aにより促進された」の方が主語と術後の距離が短くなるので理解しやすいと思います。
ここではシンプルな文を例に挙げましたが、実際には修飾節がより長くなるはずですので、このような工夫をすることで理解度を格段に上げることができます。
図はできる限り多く、大きくし、予備実験データは必ず載せる
私が筆頭論文なしでも DC2 に採用された 1 番の要因はここにあると思っています。
先に示した私の申請書を見てもらえれば分かると思いますが、最初の2ページだけで図を6つ入れています。(申請書全体では8つ)
更に、一つひとつの図の横幅は申請書の 1/3 程度に設定してあります。
皆様も含め、研究者は論文を読む時に、主に実験結果から論文のメッセージを読み取っていきます。
文章も当然読むと思いますが、実験データに対する理解のサポートや筆者らの主張を知るためであり、やはりデータをメインに見るでしょう。
審査員もその点は同じであろうと思われます。
つまり、あなたが述べる実験計画の根拠となるデータを多く入れることは、ざっと目を通すだけでも理解し、納得してもらえる申請書に仕上げることに繋がります。
私の場合は、「本研究の着想に至った経緯」に予備実験データとして2つ入れています。
この項目で予備実験データは必須ですので、少なくとも1つは必ず入れるようにしましょう。
逆に、ある程度研究が進んでいる場合でも、その一部の結果を予備実験データとして示し、その先の研究内容を計画とすることも良い作戦だと思います。
実際、私はこの作戦を取っており、研究計画の項目で合計6つの Figure を載せています。
最初の図は、本研究で明らかにしたい仮説の全体像を示す Graphical Abstruct ですが、その他の5つは全て「文章中に記載した研究計画の合理性を裏付けるための予備実験データ」を載せています。
「予備実験データからここまで分かっているから、今後このような実験をすれば論理が固くなる、もしくはメカニズム解明に繋がります」といった書き方で、図と計画をセットとして記載しました。
ここまでデータを基に理詰めすることができれば、研究プロジェクト完遂の実現可能性を十分に示すことができ、筆頭論文という研究者の能力を示す客観的指標がなくとも審査員の先生方に理解していただけたのだと思います。
また、図を作る際は以下のポイントを留意していました。(グラフの作成は GraphPad Prism で行うのがおすすめです。)
- 色使い:注目させたい群を「濃い色」にする。学振はグレースケールで提出することに留意する。
- 線:太さは圧迫感が出ないように「細め」がおすすめ。
- 軸:数値は文字が潰れないように「大きめ」にする。差が見やすいように「縦軸をギリギリに設定」する。
- 図中の文字:ゴシック体で記載する。画像化する際に小さくなることを想定し、「大きめ」で作成する。
- Figure の作成:パワーポイントに図を貼り付ける。その下にタイトルと図の説明を「大きめ」の字で記入する。(理想は画像出力し、申請書に載せた際に本文の文字の 1/2 以上にである大きさ)
- 図の説明:タイトルとして結果から示唆されるメッセージを「端的に」書く。スペースがあれば結果の要約(データの読み方)を書く。
- 画像出力:パワーポイントでグラフと文字を組み合わせた後、PDF で出力する。その後 PDF viewer の画像出力機能にて JPEG 化する。(画質が一番落ちにくい画像作成です)
この辺のポイントは参考書にて詳しく説明されていますので、是非ご一読ください。
現実的な量の研究計画を提示する
DC1であれば3年間、DC2であれば2年間で終わらせられるか、ギリギリ足らないくらいの研究計画を提示しましょう。
あまりにも壮大すぎる仮説や、研究内容、複数の超高額な実験は博士課程学生と言えど、現実的でないと判断されかねません。
ただし、簡単に終わらせられるような、先の見えた研究計画や仮説は、サイエンスとしての面白さに欠け、その意義も伝えにくいと思います。
従って、それぞれの申請区分に適した量の研究計画を示しましょう。
計画がうまくいかなかった場合のプランBも記載する
当然のことながら、研究は得られた実験データに沿って展開していくため、計画通りにことが進まないことは多々あります。
そのような場合に陥ったとしても、「この研究計画を完遂することができる」という実現可能性を示すためにも、プランBを計画書に盛り込みましょう。
例えば、in vitro の結果を受けて、今後の計画に in vivo 病態モデルを用いた解析を盛り込む場合、必ずしも in vitro の結果と一致するわけではありません。
その時点で「研究が破綻しないように、先を見据えて計画をしています」とアピールするためにも、他の病態モデルの提示など別アプローチを考慮に入れていることを記載しましょう。
研究の意義・特色を広い視点から探してみる
多くの学生は、教授や上司からトップダウン的にプロジェクトを任されており、そのことについて申請書にまとめていると思います。
従多くの場合、「疾患Aに有効な薬剤がない」や「細胞Bにおけるシグナル分子Cの機能が不明である」などを意義や特色として掲げていると思います。
このような謳い文句は申請書に溢れていますので、大きな差別化にならず、審査員の先生方に印象を残すことができません。
従って、審査員の先生方(特に専門分野外の審査員)の興味を引くような意義や特色の説明ができるとベストです。
私もこのパートの言い回しと切り口について、最後の学振の申請時に大幅に変更したことで良い結果に恵まれたと思っています。
アドバイスとしては、より広い視点や別の観点から自分の研究意義を見出せないか考えることです。
審査員もサイエンティストですから、「これは面白そう」と思わせられるような仮説と意義を提示することが重要です。
自己分析は研究内容やその成果と絡めるとアピールしやすい
DCの場合、業績で大差がつきにくいため、この自己分析も審査結果に大きく影響すると思います。
特に、同じような業績で研究計画にも差がつかない申請書同士を比べた場合、このパートを根拠に優劣をつけるはずです。
各項目の指示に従ってあなたの研究者としてのアピールポイントを書いていけばよいですが、研究計画に盛り込んだ実験データや研究業績と絡めて、あなたの強みを書くと説得力が増すと思います。
例えば、予備実験データとして病態モデルの解析結果を載せたとしましょう。
当然、有意差を出すために様々な工夫を凝らして、ポジティブデータを得たことと思います。
そのデータを基に自分の強みを述べる際に、「自分だからこそできた結果である」ことを主張しましょう。
あなたはそのデータを得るために無数の論文を読んだり、ディスカッションの中からプロトコルを導き出したかもしれませんし、緻密な条件検討を通して再現性の高い実験系を確立したかもしれません。
いずれにしても、その実験結果を「あなたの持つどのような特性や能力を活かして獲得できたのか」を述べることで、実験データという根拠を元にあなたの強みを審査員に伝えることができると思います。
研究業績はできる限り多く書く
研究成果の欄はできる限り多く書けるように、事前に学会発表や論文執筆をする努力を積んでおくべきです。
私自身、最後のDC2 申請時に筆頭論文はなかったものの、共著論文3報と複数の学会発表賞がありました。
昔の学振ほどは合否に強く影響しないという感覚がありますが、依然として研究業績は「研究者としての能力を判断する客観的証拠」です。
従って、博士課程に進学すると決めた段階で早めのうちに上司と相談し、業績を積むためにできることを着々と進めるべきだと思います。
研究業績が少なくても、その概要やあなたの Contribution について記載することも良いかもしれません。
読み手の興味を惹きつけるタイトルを目指そう
論文を探すとき、タイトルを見ただけで面白そうと感じることがありますよね。
学振でも同じように「面白そう」と思わせるような「言い回し」でタイトルを設定できると良いと思います。
タイトルの付け方を学ぶ方法として「日本の研究.com」の科研費の研究名からアイデアを練ると良いと思います。
適切に申請書を評価してもらえる書面審査区分を選択する
学振の審査は、「書面審査区分」と呼ばれる枠組みに含まれる6名の専門分野の異なる研究者によって審査されます。
例えば、免疫学分野に申請したとすると、ウイルス学や細菌学、病理学と同じ審査区分となりますので、これらの分野の研究者にも理解できる内容であることが必要です。
しかしながら、ここまでのアドバイスを反映していれば、あなたの専門分野外分野の研究者でも理解できるような申請書に仕上がっていると思います。
一方、専門分野に素直に出すと競争率が高いことが考えられる場合、別の分野で申請することも1つの考え方です。
一般に、医歯薬分野では競争率が高くなりがちなので、生物学分野で申請する選択をする人もいます。
しかし、専門分野とは少し外れる場合は、審査員の先生方に適切に理解し、評価してもらえないというリスクもあります。
ここには正解はありませんが、私としては適切に評価してもらえそうな書面審査区分のうちのいずれかに申請することをおすすめします。
先生や先輩に添削してもらい、何度も修正する
申請書を書いていると客観的な視点を持てなくなってくるため、できる限り色々な人に見てもらうようにしましょう。
近い人で言えば、教授や上司はもちろんですが、先輩だけでなく後輩にも呼んでもらうようにしましょう。
可能であれば、専門分野外の先生や学生にもお願いしてフィードバックを貰えると良いと思います。
私自身、書面審査区分の中の別の専門分野の教授に添削してもらい、そのフィードバックの中から、新たな視点で自身の研究意義を見出すことができました。
重要なこととして、見てもらった方から頂いた客観的意見は必ず受け入れ、申請書を改定していきましょう。
それらの指摘はあなたが気がつけなかったポイントであり、審査する 6 人の研究者の誰かは同じ印象を受ける可能性が高いです。
最後に
学振は申請者の 80% が落ちてしまう非常にシビアな戦いです。
私自身も計4回、学振を含む博士課程支援事業の申請に落ちており、悔しく辛い思いをしてきました。
しかし、学振は実力だけではなく、研究内容の流行りや所属ラボにおける業績の積み上げやすさ、審査員の先生方と研究内容の相性など、合否を左右するファクターが非常に多いのであまり悩みすぎないことが大切だと思います。
実際、学振に採択された学生でも「自立して研究できている」と言えない人も一定数います。
それでも、私のボスが言うように、「出さなきゃ当たらないし、出し続ければいつか当たる(かもしれない)」ので、学振に限らず、最後まで諦めずにチャレンジし続けることが大切であると、私の経験を持って読者の皆様に伝えたいです。
事実、何回も申請書を書いてきたことで、文章で伝える力は博士課程の中で飛躍的に上がり、就職活動や現在の職場でも活かすことができています。
皆様の良い結果をお祈りしています。
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